落語家の稽古の話
お疲れ様です。春風亭吉好です。
今日は寄席へある師匠にある噺の稽古のお願いへ行ってきました。
古典落語の稽古はまず各師匠や兄さん方(後輩の場合もあり)にネタの稽古のお願いをし、稽古をつけていただける事になったらスケジュールを確認し、師匠宅や寄席の稽古部屋で稽古をつけていただきます。
ネタの稽古は自分の師匠だけにつけていただくだけでなく他の師匠に出稽古に行く事も多いです。
吉好も古典落語80席ほどのうち65席くらいは出稽古です。
もちろん一門によっては師匠からのみという方もいるかもしれません。
うちは前座の最初の1年は師匠からのみでしたね。あとは教わりたい師匠に教わりたいネタを稽古に行っていいという事になりました。
もちろん前座のうちは前座噺が中心でしたが。
稽古をお願いするにあたって当たり前ですがその師匠が持ちネタにしてないといけません。そりゃそうか(笑)
あとはよくかけられている得意ネタにされているか。
もちろん断られる事もあります。
スケジュール的に忙しかったり、季節的にかけていないネタなので思い出す必要があったり。
更に大元の師匠に行くように勧められたり。
単純に嫌われてたり、あんた誰?状態だったり(笑)
まぁ最後2つの状態で稽古お願いに行くのはKYなのでやった事ありませんが、、
稽古は師匠が目の前でネタをやってくださいます。
今は殆ど録音をさせていただけますが仕草などは見逃さないように目に焼き付けます。
ネタの後に色々とアドバイスをくださったりしたのをメモをして持ち帰りあとは必死に覚えます。
覚え方は人それぞれだと思いますが僕はひたすら聞きつつ文字にもおこします。
わからない事が出てきたら楽屋で後日質問したりなど。
セリフや仕草を覚えたら今度はそれを稽古つけていただいた師匠に見ていただきます。
そして許可を得て初めて高座にかける事ができます。これをネタを「あげる」、「あげ」の稽古などと言います。
許可を得ずに高座にかける事はご法度です。
この時の教え方も師匠ごとで様々です。
一言一句直される師匠、一通り聞いてセリフさえ合ってれば最後にワンポイント言ってくださる師匠など。
3時間以上正座しっぱなしの場合もありますし、30分で終わる場合もあります。
どちらが厳しいとも言えません。
全て直されるのも大変ですし、ワンポイントで終わる場合は後は自分で考えなくてはなりません。それぞれの師匠の教え方があって修行になります。
うちの師匠がよく「ネタは噺家の財産だから」と仰います。
その通りです。
落語の一席、一席で我々は飯を食ってるわけで。稽古をつけていただいたからには受け継ぐ責任があります。
一応僕もネタを教えた事があります(笑)
ツンデレ指南を何人かの先輩、後輩に教えて欲しいと言われて恐縮ながらお教えさせていただきました。どれだけの人がやっているかわかりませんが、、
春風亭吉好