好きな落語の話「紺屋高尾」
お疲れ様です。春風亭吉好です。
たまには落語の話。
好きなネタシリーズです。
今回は「紺屋高尾」
この噺は吉原の花魁が出てくるいわゆる廓噺に分類されるもの。
高尾太夫という人気も格もトップの花魁に一目惚れした染物屋の久蔵が身分の3年間死ぬ気で働きようやく対面、嘘偽りない真実の告白で花魁の心を射止め結婚するという逆シンデレラストーリー。
この噺は大好きな噺の中の一つです。何より悪い人が1人も出てこない。
純粋な久蔵、その思いに応える高尾はもとより、久蔵を応援してくれる親方、籔井先生ほかいい人ばかり。聞いていて心が温まります。
名場面はやはり久蔵が真実を高尾に伝えて高尾が久蔵に惚れるところ。
ここで如何に久蔵の誠実さを出せるか。
僕は最初はカッコつけて演じていたのですがある兄さんのアドバイスでそれはやめました。
それよりも等身大の久蔵=吉好を見せるように演出。
等身大の吉好=ヲタクですよね(笑)
電車男のイメージでどこかヲタクっぽくて不器用なんだけど正直なキャラとして演じたらしっくりきた気がします。
そして高尾は格の高い花魁なので最初はどこまでも気位高く演じていたのですが、ある時もえよせのゲストの代永翼さんに朗読で読んでいただいた高尾がとても可愛らしかったんですよね。
恋する乙女ってこんな感じかなと。
それをヒントに最初は気位高く、久蔵の告白後は一気に乙女に演じてそのギャップを表してみました。個人的にこの演出でハマっているとは思います。
もえよせでの声優さんとの朗読はこんな風に落語にも還元されています。
この場面まで聞かせるのが大変ですがこの場面は一番気に入っているので如何にそれまでを飽きさせないか四苦八苦していますね。
やがて夫婦になる2人の運命の出会いの噺という事で自身の結婚記念の落語会でもかけさせていただきました。
自身の体験を元に一つ演出も加えました。
高座後に語りましたがどんな演出かはその時来られた方のお楽しみという事で、、
多くの師匠がやられる噺ですがやはり志ん朝師匠、談志師匠、先代圓楽師匠の高座が絶品です。
これからも大事にしていき大きな会では節目節目でかけていきたいと思います。
春風亭吉好